フリーランスの単価が上がらないとき、足りないのは交渉より根拠。取引先が見る材料と、個人サイトに置いておく中身
フリーランスの単価は、交渉の話し方より、取引先が「この金額でよい」と判断する材料を手元に持っているかで動きます。材料とは、担当した範囲、続けた期間、直した回数や追加で引き受けた作業、出た結果の記録です。これらが頭の中にしかないと、値上げの打診も新規の見積もりも「感覚で言っている」と受け取られやすくなります。この記事では、値上げを切り出す時期と幅の目安、新規の見積もりで先に見せる中身、その材料を個人サイトのどこに置くかを順に整理します。
1. 単価が上がらないとき、交渉の前に何が足りないのか
足りないのは、単価を説明する材料です。フリーランス協会の「フリーランス白書2026」(調査2025年11月、回答1,426名)では、政府に早急な対策を求める問題として「報酬適正化」を挙げた人が41.2%いました(p.14)。これは政府への要望を5つまで選ぶ設問で、単価への不満を直接聞いたものではありませんが、約4割が挙げており、報酬の問題は個人の交渉の話し方だけではないことがうかがえます。
一方で、freeeの単価の解説(2025年5月29日)は、単価を決める要素に、スキル、経験、実績、相場、稼働時間や責任範囲などの条件を挙げています。実績が豊富で過去の評価が高い人ほど単価が上がる傾向がある、という書き方です。同じ記事は、発注側が単価の妥当性を判断するときに見る点として、ポートフォリオと成果物、評価や成果、経験の規模と役割を挙げています。
つまり、取引先が見ている材料と、フリーランスが交渉で口にする材料は、同じ土俵に乗せる必要があります。「生活が苦しいので上げたい」といった主観的な理由は、取引先には判断材料になりにくいからです。@SOHOの値上げ交渉の解説(2026年7月10日更新)も、感情的な理由を前面に出すことや、口頭だけで済ませることを、うまくいかない例として挙げています。「忙しい」だけでも弱く、稼働が上限まで埋まっていることを記録で示せて、はじめて目安の1つになります。
2. 取引先は、単価の根拠として何を見ているのか
取引先が見る材料は、範囲、再現性、成果、継続の4点に整理できます。裏づけとして、CareerChainの調査(2026年10月6日発表、調査2026年9月、フリーランス522人・企業の人事・採用担当者508人)で、企業が実力を判断しやすくなる情報の上位は、技術力・専門性のレベル(48.6%)、スキルの再現性・応用力(47.0%)、プロジェクトで担った役割・業務内容(41.1%)でした(本文で示されているのは上位3項目です)。この調査が聞いたのは「実力を判断しやすくなる情報」で、単価の根拠を直接聞いたものではありません。発表元の自社調査で、企業側の回答者は人事・採用担当者のため、発注者全体の傾向とも言い切れません。目安として読んでください。
同じ調査では、実力を十分に伝えること・見極めることが難しいと感じる理由として、「実際に一緒に働いた人でないと分からない部分があり、その評価・裏付けがないから」が44.6%ありました。この回答は、評価や裏づけを相手に見える形で残す意味があることを示唆します。
| 筆者が整理した材料 | 具体的に出せる材料 | 手元にないときの状態 |
|---|---|---|
| 範囲 | 担当した工程、受けた依頼の種類 | 「何でも屋」に見え、安い単価で比べられる |
| 再現性 | 進め方、納期と修正回数の記録 | 毎回ゼロから見積もりを説明することになる |
| 成果 | 公開した成果物、許可を得た数字、取引先の声 | 「前と同じ金額」で止まりやすい |
| 継続 | 取引期間、リピート依頼の回数 | 値上げの根拠が弱くなる |
(上の表は筆者の整理です。)
3. 既存の取引先に値上げを切り出すとき、どんな材料をそろえるのか
そろえるのは、継続期間、仕事の幅の広がり、追加作業の記録、結果の数字の4種類です。@SOHOの値上げ交渉の解説(2026年3月9日公開、7月10日更新)は、交渉を始めてよい目安として、同じ取引先との1年以上の継続、スキルや対応範囲の向上、同業の相場より20〜30%以上安い状態、稼働が上限まで埋まっていること、契約外の追加作業の増加、クライアントからの高い評価やリピート依頼を挙げ、これらのうち2つ以上が重なったときに切り出す、としています。
時期と幅の目安も、同じ解説に書かれています。
| 項目 | 解説の目安 |
|---|---|
| 打診する時期 | 契約更新の2〜3ヶ月前 |
| 定例の契約更新での値上げ幅 | 10〜15% |
| スキルが大きく向上したときの幅 | 20〜30% |
| 受け入れられやすい幅 | 10〜20% |
| 段階的に進める場合 | 初回5%、半年後に再交渉 |
これらは解説サイトの目安で、調査に基づく数字とは限りません。取引先の業種や予算の時期で変わるため、材料をそろえるときの物差しとして使います。
進め方の例も書かれています。「現行の範囲のまま」の案と、「追加サービスを含める」案を並べ、取引先に選んでもらう形です。筆者の見方ですが、こうすると金額だけを上げる依頼にならず、範囲の見直しとして話せます。口頭やチャットだけで了承を得て終えるとトラブルになりやすいとされ、承認後は契約書の改訂版を取り交わす進め方が挙げられています。
単価の据え置き自体については、@SOHOの別の解説(2026年4月28日公開、8月28日更新)が、据え置きは直ちに違反とはならず、違反かどうかは協議の経緯しだいだと整理しています。同じ解説は、見直しの申し入れを書面で行い、応答も記録するよう勧め、相談先として中小企業庁の無料相談窓口と公正取引委員会を挙げています。ただし、この解説が「下請法」と呼ぶ法律は、2026年1月1日施行の改正で「中小受託取引適正化法(取適法)」に名称が変わり、窓口も「下請かけこみ寺」から「取引かけこみ寺」に改称されています(政府広報オンライン、大阪府の案内で確認)。取適法は個人事業者も対象になりえますが、適用には取引条件などの要件があり、フリーランスの取引がすべて対象とは限りません。フリーランス・事業者間取引適正化等法(2024年11月施行)は、業務委託の条件の明示や支払期日などを別に定めており、両方に当たる取引では原則としてフリーランス法が優先して適用されます。取引の条件によって適用される法律が変わるため、個別の法的判断は弁護士に確認してください。
4. 新規の見積もりでは、安く見られないために何を先に見せるのか
先に見せるのは、料金の決め方の前提になる範囲と条件です。金額だけが先に伝わると、相手は他の候補の金額と並べて比べます。範囲、納期、修正の回数、対応できる時間帯といった条件が先に読めていれば、同じ金額でも「何が含まれる金額か」が伝わります。freeeの解説も、稼働時間・日数、契約期間、責任範囲が単価に影響するとしています。
見積もりの場面で単価が下がりやすいのは、依頼の中身が相手に伝わっていないときです。たとえば、ライターなら1記事の文字数と取材の有無、デザイナーなら修正の回数と素材の用意、エンジニアなら稼働の枠と仕様変更の受け方です。こうした条件が文章で残っていれば、「もう少し安く」と言われたときに、金額を下げるか、範囲を絞るかを選べます。
職種ごとの載せ方は、「デザイナーのポートフォリオサイト」「ライターのポートフォリオサイト」「エンジニアのポートフォリオサイト」で扱っています。料金の幅をあらかじめ載せるかどうかは、依頼の種類によって判断が分かれます。幅を載せると問い合わせの質が揃う一方、個別の見積もりが必要な仕事では幅が当てはまりにくくなります。載せないなら、金額の代わりに「どの条件で金額が変わるか」を載せる形もあります。
5. 個人サイトは、単価の根拠のどこを受け持つのか
個人サイトが受け持つのは、材料の置き場です。交渉の場で話すのは人ですが、材料は取引先や紹介された人が、話す前に読める場所に置いてあるほうが効きます。「フリーランスにホームページは必要か」では、紹介で仕事が回っている人にも、連絡の前に相手が名前を調べる場面があることを扱っています。
置く中身は、次の4点です。
- 担当範囲:どの工程を引き受けたか。
- 進め方と条件:納期、修正回数、対応の時間帯。
- 成果物と、許可を得た数字:公開できるもの。守秘で出せない場合は、匿名にして役割と判断の理由で補う。
- 取引の継続:何年続いているか、リピートがあるか(許可を得た範囲で)。
実績が出せない場合の線引きと許可の頼み方は、「フリーランスが実績を載せられないとき」にまとめています。
サイトは更新が止まると、載っている情報が古くなります。値上げの打診の前に実績を足し、条件が変わったら書き換える更新が単価の根拠を保ちますが、案件が詰まっている時期は後回しになりがちです。
6. 根拠の更新を、月額で任せるには
Freelance Growthでは、個人サイトの制作・保守を月額で任せられ、プランによってはSNS運用や検索広告の運用も含められます。2026年10月26日時点の公式サイトの表記では、すべて税別、初期サイト制作費は全プラン0円、最低契約期間は6ヶ月です。月額9,800円のSTARTERは、個人サイト1ページの制作と基本保守です。STARTERでページを増やす場合は、1ページあたり月額2,000円のオプションになります。SNS運用を含むプランは、月額39,800円(月20本)、49,800円(毎日1投稿・月30本)で、月額99,800円のプランは、SNS運用(毎日1投稿・月30本)に加えて、Google検索広告の初期設定・運用・改善を含みます。広告の出稿費は月額とは別にかかります。解約などの詳しい条件は、相談時に案内されます。
ヒアリングでは、得意分野や実績、これから増やしたい案件を聞きます。載せる実績がまだ少ない場合の見せ方も、相談の中で整理できます。掲載する素材は、ご自身で用意していただきます。
よくある質問
単価を上げたいとき、まず何から始めるのか。
取引先ごとの記録を作るところからです。継続期間、追加で引き受けた作業、直した回数、評価の言葉を一覧にしておくと、打診の根拠になります。
値上げを断られたら、どうするのか。
その場で金額を変えず、範囲を絞った案や、時期を改めた再提案を出す形があります。@SOHOの解説は、最初から段階的に進める方法として、初回5%の後に半年後に再交渉する案を挙げています。断られた後の再提案にも応用できます。
個人サイトに料金は載せたほうがよいのか。
依頼の種類しだいです。定型の依頼が多いなら、幅を載せると問い合わせの質が揃います。個別の見積もりが中心なら、金額より「どの条件で変わるか」を載せるほうが合います。
副業でも、単価の交渉はしてよいのか。
してよいです。ただし、勤務先の就業規則で副業が認められているかの確認が先です。相談フォームでは「副業として活動中」「これから独立・副業を始める予定」などの活動状況を選べます。
まとめ
単価の動きは、取引先が判断する材料がどれだけ手元にあるかに大きく左右されます。値上げは、契約更新の2〜3ヶ月前に、継続期間・仕事の幅の広がり・追加作業の記録・結果の数字をそろえて、2案を並べて示すと、金額の話が範囲の見直しとして進みやすくなります。新規の見積もりは、金額より先に範囲と条件を見せると、比べられ方が変わります。個人サイトは、こうした材料を相手が先に読める置き場として働きます。更新を任せたい場合は、月額で制作・保守を任せる方法があります。
単価の材料を置く個人サイトから相談したい方へ
活動状況などをフォームに書いて送れます。初期サイト制作費0円、月額9,800円(税別)から、最低契約期間は6ヶ月です。
- 相談・お見積もりは無料です
- 初期サイト制作費0円の月額制
- SNS運用・Google検索広告もまとめて相談できます
出典
- 一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会『フリーランス白書2026』(調査2025年11月、集計対象1,426名。p.14)
- @SOHO編集部「フリーランスの値上げ交渉」(2026年3月9日公開・7月10日更新)
- @SOHO編集部「継続取引の単価を3年据え置くのは違反になるか」(2026年4月28日公開・8月28日更新)
- freee「フリーランスの単価相場」(2025年5月29日)
- CareerChain「フリーランスの『実力評価』の実態と課題」(2026年10月6日発表。調査2026年9月、フリーランス522人・企業の人事・採用担当者508人)
- 政府広報オンライン「取適法」(2026年1月1日施行)
- 大阪府「取引かけこみ寺」案内ページ
- Freelance Growth 公式サイト(料金プラン・ご利用の流れ、2026年10月26日確認)