案件が途切れたとき、フリーランスが最初の2週間でやること。途切れ方の見極めと、次の入口の作り方
案件が途切れたとき、最初にやるのは新しい仕事探しではありません。「どの途切れ方か」を見分けて、過去の取引先と紹介元に近況を伝えることです。フリーランス協会の『フリーランス白書2025』(調査期間2024年11月1日〜12月14日、集計対象n=1,053)では、仕事を見つける経路として「人脈(知人の紹介含む)」を挙げた人が72.8%、「過去・現在の取引先」を挙げた人が61.0%でした(複数回答)。すでに知っている相手を経路にしている人が多数派です。途切れた直後に応募サイトへ登録しても、この2つが止まったままなら、入口の中心は動いていないことになります。
この記事では、途切れ方の3分類、契約終了を告げられたときに確かめること、最初の2週間の動き方、近況連絡の書き方、入口を増やす順番を扱います。東京企画もフリーランス向けの個人サイト制作を提供しているので、個人サイトが役に立たない場面も書いています。
1. 途切れ方は3つに分かれる。まず、どれに当たるかを決める
対処は途切れ方で変わります。契約終了の連絡があった場合と、連絡はないのに発注が止まった場合では、最初に動く相手が違うからです。
| 途切れ方 | 状況の例 | 最初にやること |
|---|---|---|
| A. 契約終了の連絡があった | 「来月で終了します」とメールが来た | 終了日・理由・未払い分を文面で確かめる(2章) |
| B. 連絡はないが、発注が止まった | 毎月来ていた依頼が、2か月来ていない | 担当者に近況を聞く連絡を入れる(4章) |
| C. 紹介や新規の相談が来なくなった | 取引は続いているが、新しい話が1年ない | 入口が何に偏っているかを見直す(5章・6章) |
AとBは「今の収入」の問題で、Cは「半年後の収入」の問題です。1つの出来事に見えて、混ざっていることもあります。たとえば取引先が1社だけで、その1社が終了を告げてきた場合は、AとCが同時に起きています。
2. 契約終了を告げられたら、30日前の予告と理由を確かめる
フリーランス法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律、2024年11月施行)には、発注側が一定の業務委託を途中で解除したり更新しなかったりする場合の事前予告の決まりがあります。厚生労働省の労働局向け資料によると、第16条は6か月以上の業務委託を対象に、原則として解除日または契約満了日の30日前までに予告することを求めています。予告から満了までの間に理由の開示を請求すれば、例外にあたらない限り、発注側は遅滞なく理由を開示しなければなりません(第16条2項)。
例外もあります。災害などで予告が難しい場合、業務委託の期間が30日以下の短期の場合、フリーランス側の責めに帰すべき事由がある場合などです。また、第16条の義務を負うのは、従業員を使用している事業者(または役員が2名以上いる法人)が発注する場合です。受ける側は、従業員を使っていない個人や、代表者1人だけで、ほかに役員も従業員もいない法人が当てはまります。自分の契約が当てはまるかは、契約書の期間と相手の事業形態を見て判断することになります。
実務で使うなら、終了の連絡が来た時点で次の3点を文面(メールやチャット)で残すのが確実です。
- 終了日と、最後に納品する範囲
- 報酬が未払いの分と、その支払日
- 終了の理由(開示を請求できる場合があります)
理由は、次の入口を考える材料にもなります。「予算の都合」なら別の部署や時期に再依頼が来る余地がありますが、「品質への不満」なら、実績の見せ方や進め方を見直す必要が出てきます。
3. 最初の2週間は、「連絡」「整理」「受け皿」の順に動く
2週間でやることは3つに絞れます。新しい案件サイトに登録するのは、これらの後でも遅くありません。
| 時期 | やること | 見るところ |
|---|---|---|
| 1〜3日目 | 過去2年分の取引先・紹介してくれた人を一覧にする | 最後に連絡した時期、相手の役職、頼まれた内容 |
| 4〜7日目 | 上から順に、近況連絡を送る(4章) | 返信の有無と、次の話が出るか |
| 8〜10日目 | 実績の整理。直近の3〜5件を、依頼の背景・担当範囲・結果で書き直す | 相手が検索したときに、同じ内容が見つかるか |
| 11〜14日目 | 相手が確かめに来る場所を点検する(プロフィール、SNS、サイト) | 「何ができて、いくらくらいで、どう頼めばいいか」が1か所で分かるか |
1〜3日目の一覧は、名前の数より「最後に連絡した時期」を並べて見えるようにするのが肝心です。1年以上連絡していない相手ほど、返事が来たときの効果が大きい反面、送るのに気後れして後回しになりやすいからです。
4. 近況連絡は、お願いではなく「いまの状況」を伝える
近況連絡は、仕事をくださいという依頼ではなく、いま何ができるかを伝える文面にすると返事がしやすくなります。相手が悩むのは、断りづらい頼みごとが来たときだからです。
たとえば、次のような形です。
○○さん、ご無沙汰しています。△△のデザインでお世話になった□□です。
今月から新しい依頼を受けられる状況になりました。最近は飲食店のメニューや販促物を中心に、月に3〜4件ほどお受けしています。
もし社内で「これを頼める人がいたら」という話が出たときは、思い出していただければうれしいです。実績をまとめたページはこちらです。(URL)
この文面には、仕事の有無を問う文も、返事の期限もありません。入れているのは、受けられる時期、得意な仕事、見られる場所の3つだけです。返事が来ない相手に、2回目を送る必要はありません。半年後に、新しい実績を添えて送るほうが相手にとっても自然です。
Bの場合(連絡がないまま発注が止まった場合)は、担当者個人に聞くのが先です。「今期の予算や体制で、依頼の予定は変わりましたか」と事実だけを尋ねると、相手は答えやすくなります。
5. 連絡が実を結ぶかどうかは、相手が確かめに来る場所にも左右される
近況連絡を受け取った相手や、紹介された会社は、返事の前に名前で検索することが多いと考えられます。そのとき、実績と頼める範囲が1か所で分かるかどうかは、連絡するかの判断に影響します。
『フリーランス白書2025』では、営業ツールとして使っているものは、メールが62.8%、名刺が62.6%、SNSアカウントが49.3%、ホームページが38.8%でした(複数回答)。営業ツールとしてホームページを使っている人は4割弱で、紹介や取引先から来た人が確かめる先を、全員が用意しているわけではありません。
個人サイトがなくても、SNSやポートフォリオのサービスで足りる場面はあります。取引先が長年固定で、新しい相手と会う予定がない人は、急ぐ必要はありません。一方、次のような人は、確かめる場所がないことで機会を逃しやすくなります。
- 紹介で新しい会社とやり取りする機会が、年に何度かある
- 取引先が1〜2社に偏っている
- 提案のたびに、経歴や実績の資料を作り直している
この場合の個人サイトは、集客の道具というより、近況連絡や紹介の後ろで受け皿になる資料です。実績・できること・料金の目安・相談窓口が1ページにまとまっていれば、途切れた直後に送る近況連絡にも、同じURLを添えられます。最初の1ページに何を載せるかは、姉妹記事「フリーランスにホームページは必要か。紹介で仕事が回っている人ほど持っておきたい理由と、まだ要らない人の見分け方」で詳しく扱っています。
職種や今の取引の状況をうかがって、何を載せれば「この人に頼めそう」と思ってもらえるかを一緒に整理します。実績が少ない段階でもご相談いただけます。近況連絡の「受け皿」を持っておきたい方へ
6. 入口を増やす順番は、近い相手から遠い相手へ
入口を増やすときは、すでに知っている相手に近いものから順に手を付けると、成果が見えるまでが短くなります。
『フリーランス白書2025』は、仕事の見つけ方ごとの「利用した割合」(複数回答)と「最も収入が多かった経路」(単一回答)を聞いています(n=1,053)。
| 経路 | 利用した割合 | 最も収入が多かった経路とした割合 |
|---|---|---|
| 人脈(知人の紹介含む) | 72.8% | 35.6% |
| 過去・現在の取引先 | 61.0% | 29.9% |
| 自分自身の広告宣伝活動 | 33.4% | 7.7% |
| エージェントサービス | 25.3% | 12.4% |
| クラウドソーシング | 23.3% | 6.0% |
| 求人広告 | 17.8% | 5.4% |
出典:一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会『フリーランス白書2025』(調査期間2024年11月1日〜12月14日)
人脈と取引先の2つで、最も収入が多かった経路の6割以上を占めます。利用割合に対する比率で見ると、エージェント(12.4%÷25.3%)は人脈や取引先と同じ約半分で、広告宣伝(約23%)、クラウドソーシング(約26%)、求人広告(約30%)より高い水準です。クラウドソーシングは、利用割合が23.3%ある一方、最多収入の経路は6.0%でした。これを収入の柱にしている人は多くない、という読み方もできます。
この数字を使うと、動く順番は次のようになります。
- 過去・現在の取引先:近況連絡(4章)。費用がかからず、反応も早い
- 人脈・紹介元:紹介してくれた人に、今の得意分野を一文で伝える
- 確かめる場所の整備:1〜2の連絡の受け皿(5章)
- SNS・発信:見つけてもらう入口。効果が出るまで月単位でかかる
- エージェント・クラウドソーシング:つなぎの収入や、取引先を広げる手段として併用する
途切れた直後は5番から始めたくなりますが、そこだけに入口を寄せると、手数料や単価の競争に生活が左右されます。つなぎとして使いつつ、1〜3番の動きを止めないことが、半年後の入口を残します。
7. Freelance Growthで入口を持つ場合
Freelance Growthは、フリーランス・副業人材向けに、個人サイト(サービスサイト)の制作と集客を月額で支援するサービスです。運営は東京企画合同会社です。
- 初期サイト制作費は0円。月額9,800円(税別)からです。
- いちばん小さいプラン(STARTER)は、1ページの個人サイトの制作と基本保守。ポートフォリオ掲載、サービス・料金の紹介、問い合わせフォーム、スマートフォン対応を含みます。
- STARTERでページを増やす場合は、1ページごとに月額2,000円(税別)が加わります。
- SNS(XまたはInstagram)の運用代行や、Google検索広告の運用を含むプランもあります。広告に出稿する費用は別途ご負担いただきます。
- 最低契約期間は6ヶ月です。解約などの詳しい条件は、ご相談時にご案内します。
- 案件の獲得や問い合わせの件数を保証するサービスではありません。相談につながる入口を整えるところを支援します。
案件が途切れている最中に月額の費用をかけてよいかは、悩みどころです。取引先が固定で増やす予定がない人や、収入の立て直しが先の人は、近況連絡と実績の整理だけで動き出すほうが向いています。
よくある質問
案件が途切れて1か月たちました。今から近況連絡を送っても遅くありませんか
遅くありません。近況連絡は、いつ送っても内容に変わりはなく、「いま受けられる状況です」という事実を伝えるものです。1か月の空きは、取引先にとっても不自然な長さではありません。
契約書がなく、口約束で仕事を受けていました。終了の予告は求められますか
契約書がなくても、発注側が従業員を使う事業者などで、業務委託が更新を含めて6か月以上続いていれば、第16条の予告の対象になりえます。フリーランス法は、発注側に取引条件を書面やメールなどで明示することも求めています(第3条)。契約書の形でなくても、メールやチャットの記録があれば、期間や条件を確かめる材料になります。まずは手元のやり取りを残し、不明な点は、フリーランス・トラブル110番などの公的な相談窓口に確認するのが確実です。
個人サイトを作れば、案件はすぐ増えますか
作っただけで増えるとは限りません。個人サイトは、近況連絡や紹介の後ろで受け皿になります。人が来る経路(紹介・SNS・検索・広告)が別に必要です。
まとめ
- 案件が途切れたときは、まず途切れ方を3つ(契約終了の連絡/発注停止/入口の枯れ)に分けて、最初に動く相手を決める。
- 契約終了を告げられたら、終了日・未払い分・理由を文面で残す。6か月以上の業務委託には、原則として30日前の予告を求める決まりがある(フリーランス法第16条)。
- 最初の2週間は、「連絡」「整理」「受け皿」の順。近況連絡は、受けられる時期・得意な仕事・見られる場所の3つだけを伝える。
- 入口を増やすなら、過去の取引先、紹介元、確かめる場所の整備、SNSの順に近い相手から。エージェントやクラウドソーシングは併用。
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出典
- 一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会『フリーランス白書2025』(調査期間2024年11月1日〜12月14日)
- 厚生労働省(愛媛労働局掲載)フリーランス法の資料(第16条、2026年10月21日確認)
- 公正取引委員会 フリーランス法パンフレット(第3条・第16条の対象、2026年10月21日確認)
- JILPT『ビジネス・レーバー・トレンド』2024年7月号 特集(フリーランス法の公布・施行日)
- Freelance Growth 料金プラン・よくある質問(2026年10月21日確認)